こんちは。
ITストラテジストでは、午後の試験をしっかり対策すれば合格できますよ!という記事を書きました。
特に、論文試験では論文構成の設計をしましょう!ということでした。
wanna-continue.hatenablog.com
今回は、午後2の論文試験において、具体的にどのような設計をすれないいのか、ぼくの設計内容を紹介しながら説明します。
問題分と設問
問題は、平成24年午後2問1 を利用します。
引用元:<a href="https://www.jitec.ipa.go.jp/1_04hanni_sukiru/mondai_kaitou_2012h24_2/2012h24a_st_pm2_qs.pdf">情報処理推進機構</a>
設問は以下のとおりです。
設問(ア):あなたが携わったITを活用した事業戦略の策定において、前提となった競争戦略について、事業特性とともに、800字以内で述べよ。
設問(イ):設問アで述べた競争戦略に基づき、どのような検討を行い、どのような事業戦略を策定したか。活用したITを明確にして、800字以上、1600字以内で具体的に述べよ。
設問(ウ): 設問イで述べた事業戦略を経営トップ、事業責任者に対してどのように提案し、どう評価されたか。更に改善する余地があると考えている事項を含めて、600字以上1200字以内で具体的に述べよ。
引用元:平成24年午後2問1
上記問題文と設問をもとに論文設計を行います。
前提を決める
どんな業界・会社について論文を書くのか、前提を決めておきます。
例えば、以下みたいな感じです。
※実在する企業について書いているわけでありません。ネットで拾ったシステム案件の情報に僕の脚色を付け加えております
- 某○○業界の△△が利用する営業システムの話(各々の経験に応じて具体的に決めてください。経験のない人は、ネットでシステム案件の事例を探してくるのもいいでしょう)
- 営業職員が顧客情報を参照する際、参照先システムによってデータ形式がバラバラで正確な情報を取得できない
- それにより、「営業サービスの質の低下」や「顧客情報修正によるコスト増加」を招いている
設問(ア)の設計
- 対象企業の事業特性と経営課題について
例:
事業特性:業界として成熟しており、新しい商品が出にくい状況
経営課題:営業サービスの質の低下・コスト増加
- 経営課題を解決するための競争戦略(経営戦略)について
例:
競争戦略:営業コストの削減・顧客満足度上昇による売上増を図ることで、「10年以内に営業利益を2倍にする」という成長戦略を掲げる
- どのようなITを活用して、経営戦略を実現するのか?
例:
各システムごとにデータ形式がバラバラになっている顧客情報を、統一するためのデータベース(新データベース)の導入
設問(ア)のポイント:
当たり前ですが、「経営戦略」や「導入するIT」については、経営課題を解決するような記載にしましょう。経営戦略は売上や利益について具体的な数字を出すと書きやすいです。
設問(ア)に関しては、「事業特性」・「経営課題」・「経営戦略」について聞かれることが多いです。したがって、どんな問題が出ても同じように書ける場合が多いです。解答パターンを2〜3つ用意しておくことをおすすめします。
設問(イ)の設計
- 活用するITは具体的などのようなものか?
例:
- 各システムの顧客情報を統一するためのデータベース(新データベース)の導入
- 既存システムのデータベースの処理やインタフェースについては変更しない(修正コストの増加やシステムごとの整合性がとれなくなる可能性があり、リスクが大きいと考えられるため)
- 既存のデータベースから新データベースへのインタフェースを新たに作る(既存のデータベースを改修せずに新しいインタフェースを追加するだけでよく、開発コストを抑えられるから)
- ITの導入において、どのような課題があったか?
例:
システムごとに独自のデータ登録方法を確立している。新データベースの導入にあたりデータ形式の統一を図る必要があるが、データ登録方法が変更になればシステム担当者の業務内容にも変更が生じることになるため、システム担当者の説得が必要となる。
- 上記課題を考慮して、導入に際してどのような検討を行ったか?
例:
- システム設計段階からデータ登録方法マニュアルを作成し、担当者教育を実施する(早期にユーザ教育を実施することで、業務内容の変更に徐々に慣れてもらう)
- システムごとに、担当者の中からリーダを選定し、リーダに対しては早期から定期的に教育を実施する(リーダに業務内容の変更について浸透させることで、末端の担当者にも新しい業務手順を浸透させやすくする)
設問(イ)のポイント:
経営課題解決のために導入するシステムについては、なるべく具体的に書きましょう。具体的に書くことで何も知らない読み手にも伝わりやすくなります。また、問題文では要求されなくても、「システム導入に際しての課題」を明記しておくとそれっぽくなります
というか、課題やトラブルが発生しないシステムなどないので、書いたほうが無難でしょう。課題を書いたら、それに対する対応策も明記するようにしましょう。
設問(ウ)の設計
- 事業戦略を経営トップと事業責任者に対してどのように提案したのか?
例:
新データベース導入により、コスト削減・売上増が見込まれ、年間5千万の利益増が見込まれる。導入に対する投資は1.5億なので、投資額3年で回収できることが見込まれる。従って、「10年以内に利益2倍」という経営戦略も達成できる見込みである(投資対効果を具体的に説明し、経営戦略を達成できることを強調する)
- 上記はどのように評価されたか?
例:
投資対効果については評価された。しかし、将来的には関連子会社も含めた業績向上も睨んでおり、それにも対応できるか確認された
- 評価結果を考慮してどのような改善点があるのか?
例:
関連子会社のシステムについても調査し、新データベースとの親和性を取れるようにする必要がある
設問(ウ)のポイント:
経営トップや事業責任者には、「経営視点」から具体的に説明するようにしましょう。本例では「投資対効果」というキーワードを用いて、具体的な金額を出して説明しています。経営者がすんなり「OK!」と答えてくれることはないと思うので、設問(イ)と同様に課題や改善点について明記するようにしましょう。
ITストラテジストの論文設計まとめ
いかがでしたか。
もう一度、ITストラテジストの論文設計についてポイントをまとめておきます。
- まずは前提を決めておきましょう。どんな業界・企業について書くのか、企業の経営課題は具体的に何なのか・・・
- 設問(ア)については、売上や利益について具体的な数字を出して書くと良いです
- 設問(ア)はどんな問題でも同じように書けることが多いです。解答パターンを2〜3つ持っておくと安心です。
- 経営課題解決のために導入するシステムについては、なるべく具体的に書きましょう。具体的に書くことで何も知らない読み手にも伝わりやすくなります。読み手のことを考えてわかりやすい記述を心がけましょう。
- システム導入には課題やリスクがつきものです。それらについても記載し、対応策を明記するようにしましょう。
- 経営者への提案の際は、経営指標を利用して具体的な金額を示して提案するようにしましょう。
以上です。
何度か論文設計をして、時間を測って論文を書いてみましょう(2時間以上かかると思いますが、本番になればなんとかなりますw)。
IT戦略にほとんど縁のないぼくでしたが、「論文設計→論文作成」を何回か練習して、一発合格出来ました。
この対策を実践することで、誰かのお役に立てれば幸いです。
というか、けっこうスパルタな対策なので、しっかりやれば合格できると思う。
なんだかんだで難関資格なので、簡単に受かるものではないかな。
以上です。
お役に立てれば。
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