今回はビジネスで活用できる統計学として「ポアソン分布」について紹介します。
ビジネスシナリオ
ビジネスシナリオ
あなたは会社で、社外向けのセミナーの企画・運営担当をしています。
とあるセミナーで参加者全員に記念品を1つずつ配ることにしました。
しかし、セミナー参加者を事前に把握することができません。
上司から、記念品をいくつ用意するかを見積もるように依頼されました。
これは統計検定2級の過去問を参考にしています。(2016年11月試験:問9)
さて、このときあなたはどのように考えていきますか?
今回はこのケースを統計学を使って考えていきたいと思います。
(※平均が20以上のポアソン分布は正規分布で近似できるものとして考える)
ポアソン分布とは
ポアソン分布とは簡単に言うと「特定の期間中にランダムに起きる事象が何回発生するか」です。
ポアソン分布の確率関数は下記のようになります。
特定の単位時間あたりにランダムに起こる事象の平均回として、
単位時間あたりに回発生する確率を求める関数がです。
また、ポアソン分布の平均、分散となります。
このポアソン分布は、特定の条件下で正規分布で近似できるので、
この特徴を使って、以下を考えてみましょう。
ケース1 記念品が不足する確率を求める
あなたはまず、セミナー参加者の過去実績を調べました。
セミナー参加者の平均は100名でした。
記念品を120個用意した場合に、記念品が不足する確率はどの程度でしょうか?
まず、セミナーの参加人数とします。
データが正規分布に従う場合は、このデータを標準化することで「標準正規分布表」を用いて確率を求めることができます。
が用意していた記念品120個よりも多くなる確率を、この方法を使って求めていきます。
まずはを標準化()していきます。
- 標準化の式
これに、確率変数、平均、分散を代入し、セミナーの参加者が用意していた記念品120個よりも多くなってしまう確率を求めます。
標準正規分布表より、のときの確率は0.0228とあるので、
記念品を120個用意した場合に記念品が不足する確率は 0.0228であることが求められました。
ケース2 いくつ記念品を用意するかを求める
記念品を120個用意した場合の不足確率は0.02であるということを上司に報告したところ、
「う~ん記念品が余っても困るなあ、予め参加者を把握しておくことはできる?できれば足りなくなる確率を0.05くらいでもう一度見積もってもらえるかな?」
とレビューを受けます。
そこで、あなたは記念品が不足するリスクを回避するために、セミナー参加者には事前に参加登録をしてもらうことになりました。
ただし、事前登録がなかった場合の参加もOKとします。
そしてこのとき事前登録は60名でした。この60名は全員セミナーに参加するものとします。
事前登録をしていないセミナー参加者が平均40名のポアソン分布に従う場合、記念品をいくつ用意すれば、不足する確率は0.05になるでしょうか?
まず、標準正規分布表より、確率が0.05程度になる値を見つけます。
今回は、とします。
事前登録をしないセミナーの参加者とすると、Yは平均40名のポアソン分布に従います。
の分布は平均40、分散40の正規分布で近似できるため、確率について、次の関係式が成り立ちます。
事前登録をしないセミナーの参加者()に、事前登録があったセミナーの参加者の人数(名)を足して、必要な記念品の数()を計算します。
左辺の不等式をちょっと変換します。
不等式の両辺を標準化していきます。
このがを満たすように計算をします。
記念品を110個用意しておけば、記念品が不足する確率を0.05にすることができそうだということがわかりました。
まとめ
今回はポアソン分布(とほとんど正規分布)をつかって、
統計学をビジネスで活用する例を書いてみました。
いかがでしたでしょうか?
ぜひ、みなさんも活用いただければと思います。